本研究は科学研究費補助金・基盤研究(B)の研究テーマとして、平成22年度より開始したものです。
本研究は科学研究費補助金・基盤研究(B)の研究テーマとして、平成22年度より開始したものです。
2006年における情報システム機器の消費電力は日本全体の消費電力の約5%に相当しており、また2025年にはこの消費電力が5倍になるという予想もあります(経済産業省:グリーンITイニシアティブ)。このように、この消費電力の削減は緊急の課題です。情報システムには、データセンターなどのユーザとの直接のインタラクションのないバックエンド系と、携帯端末やPCなどのユーザとのインタラクションで処理を行うフロントエンド系があります。この内、後者のフロントエンド系には常に処理要求があるわけではなく、常に電源を投入している場合の無駄な消費電力の割合は前者に比べてはるかに高くなります。フロントエンド系の台数が飛躍的に伸びている状況下で、さらに近年はフロントエンド系も消費電力の大きい高性能プロセッサや高性能ネットワークインタフェースを搭載するようになっており、この無駄な消費電力の増大はより深刻な問題になっています。
本研究は、このフロントエンド系の情報システムの省電力化を目標としています。これらのシステムでは常にユーザからの処理要求があるわけではありませんが、要求に応じて処理に必要な部分を起動するリアクティブ(reactive)な電力管理では、起動に時間を要するためユーザの快適さが大きく損なわれます。そこで、ユーザ行動をモニタリングすることでユーザがシステムに求めている状況、すなわちユーザと情報システムの間に介在するユーザコンテキストを推定し、このユーザコンテキストに応じてハードウェアおよびシステムソフトウェアが協調してプロアクティブ(proactive)にシステムの電力管理をすることで上記問題を解決し、ユーザの快適さを十分に担保しつつ省電力なコンピューティング環境を実現することを目指します。